2024.03.01

人材確保

実際どうなの!?中小企業における外国人雇用の現状とその展望

多くの中小企業において採用活動が難しくなる中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進や教育制度の見直しにより生産性を向上させたり、再雇用の検討やアウトソーシングの活用など、人材不足の解決策には多様な手段が考えられます。

その中で、一度は外国人採用を考えたり、その情報を目にされた経営者の方もいるのではないでしょうか。

ただ、言語や文化の壁があり、この方法が難しいと感じている経営者も少なくないと思います。今回は、「外国人雇用状況の届出」や「中小企業白書」を参考に、現在の中小企業における外国人雇用の状況を見てみましょう。

外国人雇用の現状

  1. 産業別外国人労働者数の推移
    出典:「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf)を加工して作成

    令和4年10月末現在、外国人を雇用する事業所数は298,790所、外国人労働者数は1,822,725人であり、2016年から2021年までは感染症の影響もあり前年増加率は減少傾向ではありましたが2022年から前年増加率も上昇しております。

    中小企業における外国人雇用は、多くの場合、特定の業種や職種に集中しています。例えば、製造業、サービス業、卸売業・小売業などの分野では、労働力不足を補うために積極的に外国人労働者を採用している企業が見られます。しかし、これらの分野に限らず、ITや専門的なサービス分野でも外国人の採用は増加しており、多様な技術や新しい視点を企業にもたらしています。

  2. 事業所規模別外国人労働者数の割合

    出典:「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf)を加工して作成

    また、外国人労働者数を事業所規模別にみると、「30人未満」規模の事業所で就労する者が最も多く、比較的規模の小さい企業においてより多くの外国人労働者が就業していることがわかります。

外国人を雇用する理由

2016年に(株)日本政策金融公庫総合研究所が行った「外国人材の活用に関するアンケート」によれば、外国人を雇用している企業においては、「日本人だけでは人でが足りないから」が上位に来ていますが、「外国人ならではの能力が必要だから」や「能力・人物本位で採用したら外国人だっただけ」など人手不足や採用難とは異なる理由での採用が多くなっていることがわかります。

  • 外国人を雇用する理由
    出典:「外国人材の活用に関するアンケート(2016年8月)」((株)日本政策金融公庫総合研究所)を加工して作成

言語と文化の壁

言語の壁は、外国人雇用における最大の課題の一つです。
コミュニケーションの問題は、仕事の効率や安全性に直接影響を及ぼすため、これを解消するための取り組みが求められます。一方で、文化の違いは職場内の協調性やチームワークに良い影響を与える可能性があります。これらの問題に対処するためには、言語教育や異文化間コミュニケーションのトレーニングが有効です。

実際に外国人を雇用している企業が、外国人労働者にどれくらいの日本語力を求めているか見ているかでいいますと、「日常会話レベル」が 62.2%と最も高く、次いで「ビジネスレベル」が 21.7%となっています。こうしたことから、最低限のコミュニケーションが取れることを重視していることがわかります。

  • 外国人労働者に求める日本語力
    出典:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査(2014年12月)」((株)野村総合研究所)を加工して作成

今後の方針について

今後の外国人雇用の方針については、既に外国人を雇用している企業については「いまよりも減らしたい」と回答している企業は全体の5%にとどまり、外国人雇用を積極的に活用している状態がわかります。また、実際雇用したことがない企業においては、47.3%が「雇用するつもりはない」と回答していますが、半数以上が採用活動の一環として検討できると考えているようです。

  1. 外国人雇用に関する今後の方針(外国人雇用企業)
    出典:「外国人材の活用に関するアンケート(2016年8月)」((株)日本政策金融公庫総合研究所)を加工して作成
  2. 外国人雇用に関する今後の方針(非雇用企業)
    出典:「外国人材の活用に関するアンケート(2016年8月)」((株)日本政策金融公庫総合研究所)を加工して作成

終わりに

中小企業における外国人雇用は多くの挑戦が伴いますが、それを乗り越えることで得られるメリットは計り知れません。
外国人労働者をうまく統合し、彼らの能力を最大限に活用することで、企業は新しい市場への扉を開くだけでなく、職場の多様性を深め、全体の業務効率や創造性を高めることができます。特に、言語や文化の壁を乗り越えるための教育やトレーニングは、企業文化の強化と従業員の満足度向上に寄与します。

中小企業経営者の皆様には、外国人採用に際してのこれらのポイントを考慮に入れ、適切な戦略を立てることをお勧めします。
また、国や地域の法律、文化的特性、業種に応じた異なるアプローチを取ることも重要です。外国人労働者のポテンシャルを最大限に活かすことで、中小企業は新たな成長の道を切り開くことが可能になります。

外国人雇用は、単なる「労働力の確保」という枠を超え、企業のグローバル競争力強化、イノベーションの源泉、そして多様な社会への貢献という大きな意義を持ちます。

この機会を生かし、中小企業が国際的な視野を持ち、多様性を受け入れることが、今後のビジネス成功への鍵となるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。最後に、

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