パワハラの原因は睡眠不足?改善のための具体策とは
「最近イライラすることが多く、部下にキツい言葉を言ってしまった」
「食欲が増した気がする」
「ストレスがうまく解消できていない」
「残業しても集中できず、さらに仕事が溜まる」
なんてことはありませんか?
もしかすると、それは日々の睡眠に関係しているかもしれません。
人間の集中力は起床から13時間しか持たない
皆さんの睡眠時間はどのくらいですか? 睡眠偏差値 for BIZが行っている調査によると、有識者1万人を対象にした2024年の睡眠時間は、平均6時間50分だったそうです。これは2020年の調査結果と比べて23分長くなっていますが、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均睡眠時間が8時間28分であることを考えると、かなり短いことがわかります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針」にも記載されていますが、人間が十分に覚醒して作業を行えるのは起床後12~13時間までです。起床後15時間を過ぎると、作業能率は酒気帯び運転と同程度まで下がることがわかっています。もしあなたが朝6時に起床しているなら、19時には集中力が切れ、その後の残業時間はもっとも生産性が悪くなっていると言えます。
睡眠はストレスや食欲にも影響する
人間が一晩眠ると、肉体の疲労は眠りの前半に、ストレスは後半に解消されるといわれています。睡眠時間が不足するとストレスを解消できず、精神疾患のリスクが高まります。また、健康な人でも一日10時間眠った日と比較して、4時間睡眠をたった二日間続けただけで、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減少し、逆に食欲を増進させるグレリンの分泌が増加することが分かっています。寝不足は食行動にまで影響を及ぼします。さらに、中高年においては、6時間以下の睡眠が続くと認知症リスクが3割増加するとの研究結果もあります。
睡眠不足が起こすハラスメント
アメリカの研究によれば、睡眠不足は脳の怒りの発生源である扁桃体を活性化させ、その活動を抑制する前頭前野の機能を低下させるため、パワハラ・セクハラ・不祥事などのモラル崩壊の引き金となる可能性があります。睡眠不足の上司ほど、部下に対して侮辱的な言葉を使ったり、攻撃的になる傾向が強まるということです。 例えば働き方改革が誤った形で進められた場合などで、従業員の残業時間は削減されても、管理職や経営者は除外され仕事量が増えることがあります。これまでのことを踏まえると、次のような負のスパイラルが予想されます。
リーダーの仕事量の増加 → 睡眠不足 → 自己コントロールの低下 → パワハラ発生 → 従業員の離職 → さらなる仕事量の増加
さらに、メンタルや体調不良にもつながるかもしれません。
睡眠不足を改善するには
心身共に健康を阻害する睡眠不足を解消するにはどうしたら良いのでしょうか。いくつか改善案をご紹介します。
1.勤務間インターバル制度を取り入れる
勤務間インターバルとは、勤務と勤務の間に一定の休息時間(インターバル)を設け、しっかりと睡眠や生活時間を確保することです。EU加盟国では11時間のインターバルが義務化されていますが、日本では努力義務化に留まっています。厚生労働省のウェブサイトでは、勤務間インターバルの導入方法や助成金などが案内されていますので確認してみてください。
2.睡眠をサポートするデバイスを利用する
スマートウォッチやアプリを使用して、睡眠パターンを分析し、睡眠の質や改善のためのアドバイスを提供してくれるものがあります。最近では、光と音で自然な目覚めをサポートする照明型のデバイスや、脳波をトラッキングし、特定の音で深い睡眠に導くヘッドバンド型デバイスも登場しています。
3.睡眠に特化したホテルに宿泊する
ベッドや枕はもちろん、温度や湿度にもこだわり、睡眠時の脳波を計測できるプランを提供するホテルも出てきています。全国に展開しているビジネスホテルでも快眠について研究されるなど、眠りにこだわるホテルでの休息を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
睡眠不足がもたらす様々な影響についてご紹介しました。これを機に、改めて睡眠の大切さについて考えていただければ幸いです。
<参考>
https://work-life-b.co.jp/event/sleep-symposium.html (ワークライフバランス)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html (e-ヘルスネット) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf (厚生労働省)
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